今まで住んだなかで一番のお気に入り

家は大切だ。 とくにインドアなわたしにとっては。 今まで引っ越しを何回もして 一番居心地がよかった家は 離婚して一人暮らしをした六畳一間のアパートだ。 不動産屋さんに部屋を借りに行って 紹介されたその物件は 情報誌には載っていなかった。 借り手がしばらくいないため 大家さんが家賃を下げたとのこと。 間取りも気に入って 不動産屋さんの車に乗せてもらって部屋を見に行くと なかなかいい感じだった。

契約を決めて引っ越しをした日 部屋の前をかわいいネコが歩いていて 嬉しくなったのを覚えてる。 このネコはお迎えのネコだったみたいで その後たくさん話しかけて アパートに住んでる間の大事な友達だった。

新しくはなかったけれど 東南の角部屋で日当たりがとてもよかった。 路地の奥まった場所に建っていたので 一階でも窓を開けても人の目がなくて お風呂とトイレも別だった。 せまいキッチンには 小さな窓があって そこにカフェカーテンをつけて 青い瓶を飾ったりした。 フローリングにカーペットを敷いて 丸いこたつテーブルを置いた。 ベッドは引っ越してしばらくしてから買った。

アパートだから防音は全然なってなくて 上に住む学生がうるさくて よく傘でコンコンとついた。 嫌なことはそのくらいで このアパートはほんとうに居心地がいい大好きな場所だった。 近くに桜並木があって 桜の季節に散歩をするのがすごく好きだった。 アパートによく友達を呼んで 鍋パーティをした。 チーズフォンデュやお好み焼きもよく作った。 遊びにきてくれる友達みんな なんか落ち着く部屋だねーって言ってくれた。

大家さんがいい人で よくお菓子をくれた。 大家さんの家がすぐ隣に建っていたので 困ったことがあったときはすぐ相談できて便利だった。

冬に起こった事件

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困ったことは冬に起きた。 寒い寒い日 仕事から帰ってきて鍵を開けたのに ドアがあかない。 なんでかと思ったらドアが凍りついていたのだった。 急いで大家さんちに行ったら お湯の入ったヤカンを持ってきてくれて お湯をドアにかけて 無事ドアがあいた。

そんなエピソードも懐かしい。 あの頃のわたしを まるごと包んでくれたあの部屋は 大事な大事な思い出である。 今は実家に戻って 木の家に住んでいる。 これはこれで落ち着くし 広さと収納があるのは本当に嬉しい。 窓から広い空が見えるところも大好きだ。 しかしあのアパートには叶わない。 たくさんの思い出が詰まったあの部屋。 今また誰かが住んでいるんだろうか。 わたしが出てから 地下鉄の駅が近くに出来たから 家賃も上がっただろう。 今度パン屋さんに行きがてら 行ってみようと思う。

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